OSI参照モデル第2層:データリンク層の役割と機能

OSI参照モデル第2層:データリンク層の役割と機能

データリンク層の概要

データリンク層は、OSI参照モデルにおける第2層に位置し、物理層の上位に存在します。この層の主要な役割は、直接接続された隣接ノード間で信頼性の高いデータ転送を実現することです。物理層が提供する生のビット列伝送機能に対し、データリンク層はエラー制御やフロー制御などの機能を付加することで、より実用的な通信環境を構築します。

主要な機能

データリンク層は、以下の重要な機能を提供します。

フレーミング

データをフレームと呼ばれる単位に分割し、各フレームにヘッダーとトレーラーを付加します。ヘッダーには送信元および宛先のMACアドレス、制御情報などが含まれ、トレーラーにはエラー検出用の情報が格納されます。

物理アドレッシング

MACアドレス(Media Access Control Address)による機器の識別を行います。MACアドレスは48ビットの固有識別子であり、ネットワークインターフェースカード(NIC)に割り当てられています。

エラー検出と訂正

CRC(Cyclic Redundancy Check)などの手法を用いて、伝送中に発生したビットエラーを検出します。一部のプロトコルではエラー訂正機能も実装されています。

フロー制御

送信側と受信側の処理速度の差を調整し、受信バッファのオーバーフローを防止します。代表的な手法としてスライディングウィンドウ方式があります。

メディアアクセス制御

複数のノードが同一の物理媒体を共有する場合、衝突を回避し公平なアクセスを実現するための制御を行います。CSMA/CD(Ethernet)やCSMA/CA(無線LAN)などの方式が用いられます。

データリンク層の副層構造

IEEE 802標準では、データリンク層を以下の2つの副層に分割しています。

  1. LLC(Logical Link Control)副層: 上位層とのインターフェースを提供し、論理的なリンク管理を担当します
  2. MAC(Media Access Control)副層: 物理媒体へのアクセス制御と物理アドレッシングを担当します

代表的なプロトコルと技術

データリンク層で動作する主要な技術には、以下のようなものがあります。

  1. Ethernet(IEEE 802.3): 有線LANの標準規格
  2. Wi-Fi(IEEE 802.11): 無線LANの標準規格
  3. PPP(Point-to-Point Protocol): 2点間接続用プロトコル
  4. HDLC(High-level Data Link Control): 汎用データリンクプロトコル

ネットワーク機器との関係

データリンク層で動作する主要なネットワーク機器として、スイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)やブリッジが挙げられます。これらの機器はMACアドレステーブルを保持し、フレームを適切なポートに転送することで、効率的なネットワーク構築を可能にします。

まとめ

データリンク層は、物理的に接続されたノード間で信頼性の高い通信を実現する重要な役割を担っています。エラー制御、フロー制御、メディアアクセス制御といった機能により、上位層に対して安定したデータ転送サービスを提供し、ネットワーク通信の基盤を支えています。


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